発行日 1948年8月15日
Published Date 1948/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661906361
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總司令部の公衆衞生福祉部と厚生省とは藥品工業竝びに生物學的工業を發展させて日本人の必要に應じ得る充分なワクチンと血清との生産を見るに至つた。國立衞生研究所の檢定部に於ては日本に於て販賣せられるワクチン及び血清の效力,滅菌性,安全性等を檢定し保證を與へて居る。
然るに檢定部で保證された後に製造者,販賣者,醫師がワクチン,血清の取扱を誤る場合が多い。製造所の棚に置かれたり,日の當る窓臺に置かれたり或は長く醫師の卓上に置かれてさへもワクチンは駄目になる。ワクチンが效力を失へば無效であり患者が免疫を獲得せぬ場合にも患者自身が免疫になつたと信ずるので反つて大きな害がある。日本の免疫計畫の效果を危險に陷られるものは實に此の無智と不注意に基く誤つた取扱である。若しワクチンや血清が夫々適當な温度に保存されぬ場合(例へば血清は3〜5C.天然痘ワクチンは氷點下)間もなく無價値となる。冷藏場所の不足は僅かの人々の無智と不注意に對して防禦力なき多數の人々の疾病と死を齎すものである。此の目的に對する冷藏設備は日本全國で手に入れる事が出來る。
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