症例
冷藏血液注射及びパンピングによる家族性アダムス・ストークス症候群の治驗例
松田 和雄
1
Kazuo MATSUDA
1
1岡山市榊原病院
1Okayama Sakakibara Hospital
pp.508-510
発行日 1952年10月20日
Published Date 1952/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407201112
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アダムス・ストークス氏症候群はMorganii(1760),Adams(1827)及びStokes等により記載され,Huchardによりアダムス・ストークス氏病(Maladie de Stokes)と命名された症状群であつて1),平素著しい緩徐な心搏,或いは心搏停止を伴つた患者が,突如顔面蒼白,更に著しい徐脈或いは数秒に亘る心搏停止を来し,同時に意識を喪失し,癲癇樣発作を来す1群の症状である事は周知の如くである.
心搏停止が数秒では,何等症状を呈しないが,約8秒に及ぶと眩暈,10秒で意識喪失が起り,之以上に及ぶと四肢【げた】搦次で強直,間代性痙攣を来す.更に3〜4分以上になると死を来すと述べられている2).発作の樣相は癲癇と酷似するが,本症候群は常に顔面が蒼白となり,次で紅潮,遂にチアノーゼを来す事,及び心搏が停止している事によつて区別しうる.
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