発行日 1948年1月15日
Published Date 1948/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661906275
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
序
結核の治療に,榮養療法が,安靜大氣療法と共に,もつとも大切なものの一つであることは,古來よりかはることのない原則であるが,現今の食糧事情下に於ては,主副食乃至は調味料の入手難から,之等患者に對する榮養の充分な供給は困難をきはめ,結核治療上に一大暗影を投じてゐるありさまである。このような國家的食糧難の中にあつて,さいきん結核患者にたいして,米や魚の加配等が考慮されるようになつたのは,まことによろこばしいことである。しかしながら,結核患者の食慾は,その調理及供食の方法によつても,容易に,變動を招くものであるから,われわれは,この結核患者の食慾を巧みにとらへて,あたへられた材料から,最大の榮養をとらせるように,努力すべきであらう。此のためには,患者に毎日接してゐる看護婦が,患者の攝食情況をつぶさに觀察して,主治醫の指導のもとに,調理場と緊密な連絡を保つ事が,事態を少しでも改善する第一歩であると信じて、今後當病院結核患者の,食事にたいする意見を調査した所,いささか得る所があつたので,御參考までに御報告したいと思ふ。
Copyright © 1948, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.