看護學講座
解剖生理學
日野原 重明
pp.57-62
発行日 1947年8月15日
Published Date 1947/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661906227
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(i)心臓疾患では,心臓の働きが惡くなると血行が停滯に,毛細血管の血壓が上昇するため,組織中に濾過される水分が多ぐなる。(ii)血液中の蛋白質不足は腎臓病(尿として排泄される蛋白質の量が多い時),や榮養失調症(食物中の蛋白質不足)のときに來り,此等の場合は膠滲壓が低くなり,從つて毛細管靜脈部の水分をひき込む働きが鈍り,このため毛細管の動脈部から押出した水分の囘收が少くなり,組織内に水分が次第にたまることになる。又大出血の直後は毛細管壓が急に下り,血壓による血漿の濾過作用よりも,膠滲壓による組織液のひき入れ作用が強く働く,このたの組織液を一時減少し,組織並に細胞は水分不足を來し,渇を訴える。このため大出血後には水分を組織内又は血管内に補給する目的でリンゲル液の大量皮下注射,又は靜脈内注射を行ふのである。
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