発行日 1947年2月15日
Published Date 1947/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661906178
- 有料閲覧
- 文献概要
1.日本人の生活及び文化の基礎は未だ尚發達した社會的自覺に乏しいと思ひます。過去幾世紀と云ふ長い間の訓練の結果,日本人の興味の中心は今日尚家庭内にあります。家庭内の健康の最も大切な要素はと云ふに,それは兩親であります。即ち一家庭内の健康は總べて兩親から出てゐるのであります。家庭内の健康は兩親の土臺,意見,教へ,お手本等によるものであります。父兄の衞生及疾病豫防の根本原理に對する理解力に,日本の希望がかけられてゐるのであります。日本の復興は子供の生命の中に横つてゐます。原則として,親と云ふものは世界各國を通じて同じものであります。親として先ず考へることは,自分の子供に,親として出來るだけのことをしてやり度いと云ふことであります。厚生省は企劃し,保健所は指導い,助言を與へ,病院,療養所は治療し,文部省は訓練しませうとも,その企劃,指導,助言,治療,及び訓練が家庭の人々にまで屆かない限り,これ等は全然無價値なものであります。疾病め傳播竝びに豫防の知識を持ち,それを家庭内に於て絶えす實行することこそ國民保健の基礎であります。
2.家族の一人一人は煉瓦の樣なもので,それによつて國と云ふ建物が作られてゐるのであり,幼少の子供達はそれを作ろ煉瓦であります。保健婦は家庭と親しく接觸し,是等煉瓦を型作り,その家庭を築いてゆくのであります。
Copyright © 1947, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.