疾患と検査値の推移
結核
猪狩 英俊
1
1独立行政法人国立病院機構千葉東病院呼吸器センター
pp.223-228
発行日 2012年3月1日
Published Date 2012/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543103482
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臨床症状
「2週間以上続く咳は結核を疑いましょう」という言葉に代表されるように,肺結核患者の半数以上に慢性の咳がみられる.結核の臨床症状はさまざまである.呼吸器症状としては,咳嗽,喀痰,血痰,喀血,胸痛,呼吸困難が挙げられる.全身症状としては,発熱,盗汗,全身倦怠感,易疲労感,体重減少,食欲不振,不快感,衰弱感である.結核だけに特徴的なものではないので,これらの症状を呈した患者を診療する際に,鑑別疾患として結核を意識することが必要である.
2011年の統計によると,64歳以下の世代では,約20%が健診で発見されている1).このなかには無症状の者や,症状はあっても軽微の者も含まれている.結核は潜行性に進行し,徐々に臨床症状が顕在化するため,症状の発現時期が明確でない場合が多い.65歳以上の世代では,健診発見の割合が減少し,症状が出現することを契機に診断される者の割合が90%前後となる.高齢者は他疾患で外来または入院中に発見される機会が多く,結核を疑う症状があった場合は,積極的に胸部X線検査などを実施することが必要である.
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