ナースのためのヘルスサイコロジー講座・12
グループセラピー
五十嵐 透子
1
1金沢大学医学部保健学科
pp.1156-1161
発行日 2001年12月1日
Published Date 2001/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661906071
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個人それともグループ?
日本人の歯科衛生に関するデータがあります.約8万人の企業に雇用されている人(15〜69歳)を対象としています。76%の人は歯痛を感じるまで歯科受診をせず,60%は虫歯を発見してもすぐには歯科受診を行なわないという結果が得られています.また,多くの人は,虫歯を歯科的な健康障害とは捉えておらず,規則的に歯間のフロスティングをしている人は5%以下であることが報告されています3).
このような人々の健康的な行動を促すためには,どのような働きかけであればもっとも効果が得られやすいのでしょうか.1人ひとりに個別的なアプローチをすることは1つの方法です.パンフレットの配布もできます.しかし,これらはコスト-ベネフィット(経済性)のバランスから考えると効率がよくても,その効果は得られにくいかもしれません.ヘルスプロモーションや健康障害の予防,健康障害からの回復過程における働きかけの対象は,個人だけでなく,カップル,家族,各種の集団も含まれます.特に健康障害からの回復についていえば,心身両面において,その回復は家族や地域社会を含めての働きかけなしには成り立ちにくいものです.こうしたグループへの働きかけを,日常生活から切り離した状態の中で行なおうとするものの1つが,グループセラピーです.
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