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気分次第読み放題・12
—(ウーグ・クラフト著,後藤和雄編,1998)—『ボンジュール・ジャポンフランス青年が活写した1882年』
武井 麻子
1
1日本赤十字看護大学
pp.1148-1149
発行日 1999年12月1日
Published Date 1999/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661905993
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日本と日本人について考えるとき
1999年の夏,いろいろなことがあった.ノストラダムスの大予言など,信じていたわけでもないのに,どこか不安な気持ちで7月を待ち受けていたところがあった.ケネディ・ジュニア夫妻がカリブ海で遭難したとのニュースが届いたとき,aol.comのアメリカのチャットルームに,「これこそノストラダムスが予言したことなのだ」という書き込みを見つけ,ノストラダムスの大騒ぎは日本だけではなかったことを知った.そうこうしているうちに,ケネディ・ジュニアもノストラダムスも話題にはのぼらなくなった.
江藤淳の自死が,妙に美化されて語られた.突然の豪雨に何時間も救助を待ちながら,たくさんの母親や父親や子どもたちが濁流に飲まれて死んでいくのを,テレビカメラを通して何百万人もの人が見ていた.テレビが「サッチー騒動」とやらにうつつを抜かしている間に,国会ではガイドライン法案やら「日の丸・君が代」法案やらが通過し,何十万人もの子どもや若者がゲームイベントやコンサートに夜を徹して集まっていた.いったいこの国はどこへ行こうとしているのだろうか.
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