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診察室でのなにげない「笑い」が意味するもの—医療社会学の視点から
長谷川 万希子
1
1東京都老人総合研究所政策科学部門
pp.1126-1132
発行日 1999年12月1日
Published Date 1999/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661905990
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笑いに注目する
私たちは日常生活のさまざまな場面で笑うことがあるが,そのたびに「いま笑ったのは実はこんな気持ちで笑ったんだ」と振り返って考えることはしない.いちいち笑いの意味を考えるのは不自然である.しかし,よく考えてみると,日常の笑いにはさまざまな種類があり,多様な意味が含まれていることに気づかされる.
たとえば,タッチの差で通勤電車に乗り遅れた時にみせるニヤニヤ笑いはいわゆる苦笑いということができるだろう.その笑いにはきまり悪さと悔しさの感情がこめられている.職場の上司に話しかける時に愛想笑いをするのは極度の緊張を和らげるためと考えることができる.もちろん,ただおかしくて笑うこともある.
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