フロントライン'99 女性医療
女性医療への取り組み—看護職に求められるもの
鈴木 幸子
1
1埼玉県立大学短期大学部専攻科助産学専攻
pp.555-560
発行日 1999年6月1日
Published Date 1999/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661905859
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女性のヘルスニーズが変わってきた
第11回出生動向基本調査1)(1998年,国立人口問題研究所)によると,約10年前(1987年,第9回調査)に比較するとカップルが出会ってから結婚するまでの交際期間は1.96年から2.64年と32%も長くなり,わが国の晩婚化は交際期間の延長により進行していることが明らかになった.また,妻の就業を3つのライフコース(一貫就業コース,専業主婦コース,再就職コース)に分けて平均出生児数を比較したところ,とくに一貫就業コースでは都市地域で出生児数が少なく,子どもがいない割合も高いことがわかった.少子化は単に結婚しない女性,産まない.女性が増えただけではなく,男女関係のあり方,人生の選択,生活環境などのさまざまな事象を反映した結果であるといえる.
一方,思春期においては性行動の開始が早まっており,成熟期を迎えても独身で性行動を行なう期間が長くなった.また,結婚しても子どもを生まない,生みはじめる時期が遅く,夫婦だけの暮らしの期間が長くなった.以前のような,20歳代で結婚後すぐに子どもを産む専業主婦というライフスタイルが中心であった時代に比べて,女性のヘルスニーズは確実に変化している.本稿では,看護がそうした女性のニーズにこたえ,適切なヘルスサービスを提供しているか,女性の健康を支援する役割を担えているかを考えてみたい.
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