特集 訪室を避けたいと思うとき—一般病棟でのターミナルをめぐる諸問題
どうして「避けたい」と思うのか—私が感じた無力感・不全感から
大川 智恵子
1
1東京歯科大学市川総合病院
pp.122-127
発行日 1999年2月1日
Published Date 1999/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661905766
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無力感・不全感をいだいた忘れられぬ事例
最近,ターミナルケアや緩和ケアといった考え方への理解が社会一般にも広がり,「生と死を考える会」などのターミナル期のあり方について考える会では医療従事者に混じって多くの一般の方々の参加する姿がみられる.
私は,看護婦として18年目を迎え,この間,ホスピスや緩和ケア病棟でない一般の病棟で多くのターミナル患者の看護にあたってきた.医療の進歩により,がん=死ではなくなりつつあるものの,まだまだ治療の見込みのないがん患者の援助が,その多くを占めている.これらの患者への援助は,その人らしさを尊重し,安らかな死が迎えられるよう援助することである.しかし,このなかで看護婦は,大きな心理的困難を体験する.
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