特集 食と栄養の可能性を探る
脳幹部梗塞患者の嚥下障害に対する急性期からのアプローチ
田中 靖代
1
1豊橋市民病院
pp.16-19
発行日 1999年1月1日
Published Date 1999/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661905744
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はじめに
摂食とは物を食べることをいい,嚥下は飲み込むことをさす.近年,摂食・嚥下障害患者に対する訓練は,種々の検査によって適切な方法が施され効果をあげている.ところが,急性期で摂食ができない患者や,まだ検査を受けられない段階では,「唾液を嚥下できない」ことが患者の呼吸状態を悪くしたり,気道へ流入して肺炎をおこしたり,種々の合併症をひきおこす原因となるばかりか,場合によっては生命を脅かしたり,その後の機能予後を左右することさえある.そのためにも早期からこの問題に対応することが重要であると考える.その有効な方法の一つとして口腔ケアがある.しかし,口腔ケアは多くの場合口腔内の保清に留まるか,あるいは,嚥下訓練前のウォーミングアップとして活用されてきたように思われる.
今回私たちは,脳幹部梗塞患者の発症時から,嚥下の間接訓練を踏まえた口腔ケアと体位を工夫することによって,急性期の呼吸管理とその後の摂食・嚥下訓練に効果を得たので報告する.
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