特別記事
欧米諸国における医療・福祉関連職種の役割分担の見直し—看護職を中心に
広井 良典
1
1千葉大学法経学部
pp.1148-1155
発行日 1998年12月1日
Published Date 1998/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661905728
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はじめに
プライマリケア分野などにおける医療技術の成熟化や高齢化の進展,医療・福祉のサービスに対する利用者ないし消費者の意識の高まり,ひいては経済成長の鈍化のなかでの医療・福祉における費用対効果の要請等々のなかで,欧米諸国を中心に,医療・福祉分野における職種の役割分担のあり方をめぐる議論が活発になっている.こうした議論の中心となるのは,特に看護職の業務を医師や薬剤師などの業務との関係でどう位置づけていくかという論点や,医療職種と福祉職種の役割分担のあり方をどう整理していくか,といった点であり,各国においてもなおさまざまな模索が続いている状況にある.
こうした課題はわが国においても共通のものであり,また,これらの職種間の役割分担をどう考えていくかは,各職種の必要養成数や「需給」の問題とも直結する課題である(特に高齢者ケア分野における各職種の業務分担をどう考え,それをふまえて,必要となる医師数や看護婦数をどう見込むかという点).したがって,医療・福祉分野における職種の役割分担のあり方という課題は,サービスの質,効率性,医療・福祉マンパワーの需給等々,さまざまな広がりをもっテーマであるといえ,今後わが国においても幅広い観点からの検討が求められている.
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