特集 服薬の行動科学—「指導」から「援助」へ
服薬「指導」から服薬「援助」へ—「抗HIV薬の効果的な服薬援助のための検討会」の到達点
乃村 万里
1
1HIV/AIDS看護研究会
pp.1011-1016
発行日 1998年11月1日
Published Date 1998/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661905702
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なぜ集まり何を検討しているのか
日本AIDS学会は今年で12回目となるが,看護のケアの演題は年々増える傾向にある.その内容も患者の受け入れ体制にかかわるスタッフ教育,患者への病名告知といったものから,臨床での事例検討や診療モデルナースの試みといった実際のケアについての演題が増えている.昨年12月に開催された学会では看護ケアの演題25題中(一昨年は11題)6題が服薬に関するものであった.これはこの2年ほどの抗HIV薬治療の進歩に伴うものであり,演題が増えるのも当然であろう.しかし,その内容は「援助の実際」というよりも「内服を困難にしている要因を探る」もので,抗HIV薬そのものの服用しにくさと,従来どおりの指導型では解決できない「要因」を含んだものであった.
内容のほとんどが問題提起の段階であったが,看護ケア演題発表は,時間の短縮や,会場の広さの問題もあり質疑応答でさえ十分にできる状態ではなかった.学会ではひとつの演題は3分の質疑応答を含め10分の発表である.演題を発表することに意味があり,その内容を検討することは到底不可能である.
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