特集 快適排泄ケアのためのワンポイントアドバイス
アドバイス
7 失禁にともなうスキントラブル対策と予防法
駒崎 すみ
1
1慶応義塾大学病院
pp.842-844
発行日 1998年9月1日
Published Date 1998/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661905666
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失禁にともなうスキントラブルはなぜ起こるか?
尿・便失禁のケアを行ない,さまざまな工夫をこらしてもコントロールがつかず失禁が続く場合がある.このような場合は,陰部および肛門周囲の皮膚に容易にスキントラブルを起こす.失禁にともなうスキントラブル対策とその予防法を考えるためには,スキントラブルがなぜ起こるかを考え,要因を除去していくことが大切である.
健康な皮膚の生理機能のひとつに保護機能がある.皮膚表面の角質層と皮脂や汗などの分泌物でできた皮脂膜は,皮膚の表面を弱酸性に保ち細菌の増殖を防いだり,外界からの刺激から皮膚を守るバリアとなっている.しかし,失禁が続くと排泄物中の水分やオムツのなかの湿った環境により皮膚がふやけ(この状態を浸軟という),このバリアが機能しなくなる.また,頻回な洗浄や拭き取りによる物理的刺激,尿や便の刺激により容易にスキントラブルを起こす(図1).
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