連載 看護を支えるもう1つの“知” 現象学と状況論的認知・5
“生活世界”を拡げるということ
行岡 哲男
1
1杏林大学救急医学
pp.1054-1059
発行日 1997年11月1日
Published Date 1997/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661905467
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このお話に何回か出てきた看護婦Aさんには,Bさん,Cさんという同級生がいました.この3人は,性格や人柄も似通っており学生時代の成績も同じでした.看護婦の資格を得て,それぞれ別の病棟に配属されました(前回と同様,論点を明確にするために極端なお話になりますが,その点は了承下さい).
Bさんの所属した病棟は,とにかく規則一点張りです.「◇は何時までにしなければならない」「△は,▲のようにしなければならない」「★は,☆のようにしてはいけない」等々です.これを,間違うと指導担当を含め,婦長から厳しく叱責されます.結果は関係なく,規則を守ることに最大の意味があります.さらに驚いたことに,納涼会や忘年会での振る舞いにまで規則があります.上司と食事に行ったりすることは,これらの公式行事以外にありません.看護婦Bさんは,病棟でとにかく規則を守ることに最大の関心をはらいました.要するに,看護婦Bさんの病棟は規範性が前面にある世界です.
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