特別記事
HIV看護とそのための教育方法論—『アウェアネス』と『看護行動の変容』に着目したPsychosocial Training
馬場 萠
1
1LIFE FOUNDATION国際教育サービス
pp.950-955
発行日 1997年10月1日
Published Date 1997/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661905446
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1997年3月,一時は大勢のエイズ末期の患者を受け入れてきた全米最大のエイズ・ホスピスがボストンで閉鎖された.1981年に始めて疾患として認定された「エイズ」は,16年を経過した今,大きく変わろうとしている.
変化に大きな影響を与えたのが,カクテル療法やプロテアーゼ阻害剤といった効果の高い新しい治療法の著しい進歩であるが,それに伴って,HIV感染者の社会的・心理的な環境も多く変化した.新しい治療法で大きな効果が得られた多くの感染者たちは,明日の体調への不安とともに過ごしてきた消極的生活から,再び人生を取り戻すための模索を始めている.今や,HIVはコントロールできる「完治しない慢性疾患」と位置づけられ,重複感染防止のための行動変容や薬の規則的な服用をそれまでのライフスタイルの中でどのように折り合いをつけるのか,また,その個人のそれまでのライフスタイルや死生観の中では,どのような治療法や投薬が実際的で長期継続できるのかなどに注目した「HIVマネージメント」が大きな比重を占めるようになってきた.
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