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療養所における音楽的効果
黒沢 和夫
1
1北海道教員保養所
pp.49-51
発行日 1963年9月1日
Published Date 1963/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541202197
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はじめに
デパートや工場等では軽い音楽をとり入れて従業員や来客等の精神的緊張を和らげる方法が漸次普及されてきている。このやり方を病院や療養所にも用いたらかなり患者に良い効果があるだろうということは容易に考えられる。ことに結核のような慢性病では,療養所に長い間入所しなければならない患者にとってはより一層の効果が期待されよう。
大気,安静,栄養を治療の中心としていた一昔前と異なり,化学療法,外科手術のような積極的治療に加えるに患者に与える精神心理的な影響というものは結核治療上無視しえない。結核患者に接してみるといわゆるストレス症状が悪影響を及ぼしている実例をちょいちょいみかける。すなわち不安,イライラ感,不眠,頭重感,食欲不振,めまい,動悸等の訴えであるが,これらの症状は結核による直接症状と申すよりも自律神経系の異常とかノイローゼ症状ともいうべき間接症状であって,結核医としてはこれらの症状をできるだけときほぐして結核治療の促進を図る必要がある。
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