連載 カラーグラフ
なるほど人体—Human Body World・6
胃腸はなぜねじれているのか
坂井 建雄
1
SAKAI TATSUO
1
1順天堂大学・医学部解剖学第一講座
pp.490-493
発行日 1996年6月1日
Published Date 1996/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661905094
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人間の身体は,外から見ると一応のところ,左右対称です.顔などをじっくり見ると,わずかに非対称なところもありますが,全身の骨格と筋肉は,左右がちょうど対応します.
これに対して身体のなかの内臓を解剖してみると,とても左右対称とはいえません.心臓は胸のやや左側によっていますし,大動脈は脊柱のやや左側で大動脈弓というアーチをつくります.そしてなによりも消化器は,左右対称からほど遠いものです.胃と腸は,まさにお腹のなかでねじれて,とぐろを巻いています.胃腸は,最初からこんなにねじれた形をしていたわけではありません.もともとは,口と肛門をつなぐ真っすぐな管でした.でも真っすぐなままでは,長さがたりません.胃腸は栄養分を消化吸収するために,十分な粘膜の表面積と,そして長さが必要なのです.
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