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こころと治癒力—心身医療最前線
佐々木 智子
1
1東京大学医学部保健社会学教室
pp.470-471
発行日 1996年5月1日
Published Date 1996/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661905088
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「癒し」と「アート(技術)」
現代の医療において,人の「こころ」はどのくらい大切に扱われているのであろうか.ストレスに起因するさまざまな疾病が増加するなかで,ようやく「こころ」が注目されつつある.「こころ」と「からだ」を切り離して考えてきた現代医療が,その限界を認識し,こころや感情を科学することにやっと少し目を向けはじめている.その最前線で活躍している専門家達へのインタビューでつづられたのが,本書である.
インタビュアーは著者のビル・モイヤーズである.訳者あとがきによると,モイヤーズはジョンソン大統領の補佐官(報道担当)を務めた経験があり,1970年代以降,主にテレビ・ジャーナリストとして活躍しているそうである.本書は,モイヤーズがアメリカのテレビ番組のシリーズ「治癒(ヒーリング)とこころ(マインド)」に基づいて,専門家たちとのインタビューをそのまま文章化したものである.そのテーマは,①思考や感情はどのように健康に影響するのか,②治癒(ヒーリング)はこころとどんな関係があるのか,の2つである.癒しの技とはどのようなものなのか,という総論的なことから,からだに備わった治癒力として自己制御や瞑想療法,自己催眠やグループ支援療法,気,また,こころとからだの科学的な関連,などについて,述べられている.
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