連載 私がターミナルケアに魅かれる理由・4(最終回)
この人を家に帰してあげたい
黒田 裕子
1
1宝塚市老人保健施設
pp.1098-1101
発行日 1995年11月1日
Published Date 1995/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661904945
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「在宅」を難しくしているいくつかの問題
いま,「在宅での死」を望む人がずいぶん増えてきたようにいわれます.しかしこれは決して新しい問題ではありません.私が“一般病院だからこそターミナルケアを……”,と奮闘しているときにも,こうした声を患者から少なからず聞きました.おそらく以前からそうした望みを持っていても“到底無理なこと”と言い出せずにいた人たちが,最近の「在宅ホスピス」の動きなどの報道で,その望みを口にするようになり,それが増えてきたようにみえるのだと思います.
私は患者からそのような望みを耳にすると,なんとか家に帰してあげたいと思いました.しかし,それには大きな困難がありました.それはいまもほとんど変わらないのではないかと思います.
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