特集 がん患者への継続看護—病棟から外来,在宅への流れ
がん患者への継続看護の重要性—乳がん患者の事例を通して感じたこと
大島 弓子
1
1日本赤十字秋田短期大学開設準備室
pp.642-647
発行日 1995年7月1日
Published Date 1995/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661904846
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“病気はいつから始まり,いつ終わるのだろうか.”私はこの頃,このようなことをよく考えます.看護は,健康段階のあらゆる状況の人にかかわるとはいえ,主として「病気である人=患者」にかかわると思われます.となると,この「病気の始まりと終わり」は看護を実践していくうえで重要になります.
また,「がん患者」とは,と考えると,「がんに罹患した人」であり,がんと診断された時点から,この患者であることが始まります.しかし,「がん患者」とはいつまでをいうのかは,私は明確にとらえてはいません.がんは,1981年から日本での死亡原因の1位になり,患者数も約226万人,1年間死亡は約20万人,診断,治療にめざましい発展をとげているとはいえ,完治はできるとは断言できない現状1)といわれています.また,治癒の判定が難しいこともあり2),亡くなることを前提としたイメージが多くの人々にあります.したがって,いつまでが「がん患者」というのかについては,たぶん,その人が亡くなるまでとの概念があると思われます.とするなら,「がん患者の看護」とは,がんと診断された患者が亡くなるまでということになるともいえます.
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