連載 買いたい新書
……そして我々はいかに参加していくのか?―医療の政策過程と受益者—難病対策にみる患者組織の政策参加
杉山 克己
1
1東京大学医学部保健社会学教室
pp.1050-1051
発行日 1994年11月1日
Published Date 1994/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661904684
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著者は1972年に看護学校を卒業し,続いて74年に保健・助産学科を卒業してから,保健所で5年余り,私立病院で6年週ごしている.その後「系統的な知識とものごとをきちんと整理して捉える視点を身につけたくなり」(p243),立教大学法学部に入学し,続いて中央大学大学院に進学している.この本はその大学院での修士論文がもとになっている.
いま看護教育に関して大学化が進んでいるが,かつて看護学校を卒業した人でこの著者のような道を歩んだ,あるいは歩んでいる人を私は何人か知っている.そして,「教師の提起する問題をこれまでの体験や知識に結びつけて考えてみると,抽象的な事柄も具体化され,一層興味が高まった.高校からストレートに大学に進学したのでは,おそらくこうした体験をすることはできなかっただろう」(p243)という著者の気持ちにも共感できる.ただ,おそらく大切なことは,「経験すること」や経験の「多さ」そのものではなく,いかに自分や他人の経験を咀嚼しそこから多くを学ぶかにあるのだろう.
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