連載 カラーグラフ
食事ウェ〜ブ12か月・11
自分で食べることの楽しみ—自助具を使った食の自立への援助
小島 昌恵
1
1札幌麻生脳神経外科病院栄養科
pp.98-99
発行日 1994年2月1日
Published Date 1994/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661904459
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手の機能の延長として食器をとらえてみると……
脳血管障害の後遺症では,身体的障害として手の麻痺,咀嚼・嚥下・口の開閉・舌の動きなど,食べることに関連する機能に支障が残る場合があり,その結果多くは食事介助が必要になります.しかしそのような障害があっても「食べる一連の動きの中にどんな残存機能があるのか」「どこをどう援助すれば食べられるのか」を看護婦・栄養士などが注意深く観察し,みんなで考えることにより食べることが可能になることがあります.
例えば日本の食事は,箸で食べるという非常に高度な機能を必要とするのですが,いったん障害が残ると箸は使えなくなります.そこで残存機能を駆使しスプーンを使うことになるのですが,スプーンは西洋文化のもので,本来口に食べ物を入れるものではなく,皿からスープを運ぶ道具なのです.ですから箸の代わりとしては大変不都合で使いづらいものなのです.ですからスプーン・フォークなどもなるべく箸と同じような持ち方のできるもの,皿もこぼれにくいもの,食事内容もすくいやすく,刺しやすいものにすることによって,介助なしで食べられ,自立が可能になることも珍しくありません.
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