特集 看護と生命倫理の現在
新生児医療における生命倫理の実際
相澤 加代子
1
1東京女子医科大学第2看護専門学校
pp.601-603
発行日 1993年7月1日
Published Date 1993/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661904305
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はじめに
東京女子医科大学付属病院NICUでは,児およびその家族にとって,最も意味のある治療方針を決定する際に,倫理的観点からの討議が行なわれる.対象となる症例は,致死的,あるいは予後不良と診断された症例である(高度の脳室内出血を伴った超未熟児や13トリソミー等).
本来,医療は,その生命のある限り1分1秒でも延命に努めるべく治療を続けることで進歩してきたのかもしれない.しかしながら,新生児医療の場においては,濃厚な治療をむやみに続けることはいたずらに苦しみの過程を引き延ばし,悲惨な状況に至ることも事実である.それだけに,児の予後が絶対的に不良であることが明らかな症例に対するその治療方針の決定は,単に医学的な観点のみに止まらず,社会的,法的な側面からの検討も行なわれる.ことに,家族的な背景は重要な情報の1つである.そこで,当施設における倫理的治療方針の決定の過程と決定に関わる看護婦の役割について述べてみたい.
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