特集 看護と生命倫理の現在
看護における生命倫理とは
有田 幸子
1
1日本看護協会
pp.598-600
発行日 1993年7月1日
Published Date 1993/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661904304
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生命倫理の考え方
日本看護協会では,1988年に看護婦の倫理規定を発表しました(資料参照).その中には,「人間の生命を尊重し,人間としての尊厳および権利を尊重する」と明記してあります.さらにこの生命倫理の考えを深めるために,1993年度から生命倫理に関する委員会を設け,プロジェクトを予定しています.委員会には,医師,看護婦だけではなく,法律家,宗教家,といった幅広い分野の人も参画するように配慮しています.いわゆる科学の中で忘れてならないのは医の倫理,人間の尊厳だと思います.単なる延命技術だけを競い合うのでは困ります.ですから,委員会の中では臓器移植の問題についても話し合いますし,看護婦としての高い倫理観に基づいた看護判断や看護情報の提供,また看護領域における業務の権限と責務も明確にしていきたいと思います.
臓器移植に関しましては,大学や病院にある「医の倫理委員会」などでも研究されていますが,看護婦が参加していないという事実もあります.私は常々,看護領域に深く関わることなので,参加できるよう努力することを勧めてきました.また,看護部長を中心に,生命倫理に関する研究会を開いて,ぜひ検討するようにとも言っています.看護はかけがえのない,1人ひとりの患者に対する畏敬と愛です.それを科学的,創造的にいかに実践するかなのだと思います.生命倫理問題は避けては通れないものです.
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