連載 日々の看護ケアと生命倫理と・4
臓器移植をめぐる私の想い
岡部 恵子
1
1日本看護協会看護研修センター
pp.366-367
発行日 1993年4月1日
Published Date 1993/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661904251
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そろそろ「生命倫理」に直接ふれて書いていかなければなりません.生命倫理について語ることは,単に生命の尊重について語ることでは決してないようです.いかなる生命も尊重すべきだとは理屈では分かっています.しかし,二者択一の中で生命に関する選択をしなければならないことが,医療の高度化の中では沢山あるのです.そして,その選択はあまりにも難しいことが多いのです.
生命倫理についての問題は,単に思考の世界のことではないのです.意思決定と行動開始をいつも頭において考えなければならないのです.現実の問題の意志決定として,真剣に我がこととして考えなければならないのです.とくに,看護婦であれば,単に人間としての私のことにとどまって考えているわけにもいきません.毎日毎日,日本中のどこかで,臓器移植の問題に,胎児診断の問題に,患者さんが,その家族が,難問の中に立たされているのです.だから,決定に苦しむ方々の思いを分かっていくための努力だけでも早急にしなければならないでしょう.
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