保健行政スコープ
脳死と臓器移植をめぐる議論
佐久間 文明
1
1厚生省健康政策局総務課
pp.67-69
発行日 1991年1月15日
Published Date 1991/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401900268
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●はじめに
ここ数年,脳死と臓器移植の問題は様々な場面で議論されるようになってきている.とりわけ最近では,移植希望者の海外渡航,生体肝移植の実施,脳死臨調(臨時脳死及び臓器移植調査会)の発足,一部大学の倫理委員会の脳死からの移植容認など,この問題にとって重要な意味をもつ出来事がたびたび報道されるにつれて,社会的にも大きな関心を呼ぶようになってきた.この問題については,現在脳死臨調において審議中でもあり,行政的に具体的政策を行う段階ではない.したがってこのコーナーのテーマとして,必ずしもふさわしいものではないかもしれないが,この問題の理解のために,わが国でのこれまでの議論の主な論点について,脳死臨調での議論なども参考にしながら,総括的な紹介をしたいと考える.しかし何をどのような順序で議論すべきかということ自体が議論のテーマとなりえることからも,筆者なりの整理であることをあらかじめお断りしておきたい.
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