ベッドサイドの看護
PCU病棟における症状緩和への看護ケア—チームによる取り組みで,より良い終末が迎えられたⅠ子さん
冨野 多津子
1
1国立療養所松戸病院PCU病棟
pp.236-241
発行日 1993年3月1日
Published Date 1993/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661904221
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はじめに
Ⅰ子さんが国立療養所松戸病院〔現在は,がんセンター東病院(千葉県柏市柏の葉6-5-1)に統合〕PCU病棟に7回目の入院をしてきたのは,70歳の誕生日を目前にした1991年12月31日のことであった.Ⅰ子さんの状態はすでに終末期を迎えつつあることは家族も理解していたが,家族としては何とか誕生日を迎えさせてあげたい,70歳になれば,自分たちとしてもあきらめがつくという,強い気持ちがあったようである.
ところが入院したⅠ子さんは,うとうとする日が多くなり,誕生日が迎えられるかどうか危ぶまれるほどの状態で推移していた.せめて生きている間に70歳の誕生日の喜びを味わわせてあげたいという家族の希望にそって,誕生祝いを数日繰り上げることにした.その当日,Ⅰ子さんは花柄のネグリジェに着替え,家族や病棟の看護婦たちからお祝いの言葉をかけられ,好物のスイカを食べて,とてもうれしそうであった.
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