連載 Good コミュニケーションをあなたに・1【新連載】
どうしたらコミュニケーション上手になれるか?
津田 司
1
1川崎医科大学総合診療部
pp.64-67
発行日 1993年1月1日
Published Date 1993/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661904183
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入院患者が胸に手をやりながら,「先ほどから急に胸が痛くて痛くて……」と訴える.その訴えを聴きながら看護婦は,“狭心症かな,肺梗塞かな,早く主治医に連絡しなければ”と考える.この種の会話は日常の臨床場面でよく見られる光景であり,ありふれたコミュニケーションの形であると言えよう.この例のように,われわれは相手に伝えたいことを言葉や表情,身振りで伝えようとする.時には文学や図形を用いることもある.その結果,相手はそうした言葉,表情,身振りなどの意味を読み取り,理解する.
コミュニケーションの基本的な形は今述べたように,『言葉や表情などの伝達媒体を介してメッセージを送り,相手がそれを理解する過程』である.しかし,実際は一方向の過程のみでコミュニケーションが終結することは少ない.この例で言えば,看護婦は「とても痛いようですね」といった反応をして患者の訴えを理解したことを示し,その反応を再び患者が理解してはじめてコミュニケーションが一段落する.すなわちコミュニケーションとは,“人と人との間において考え,感情,態度,行動などを伝達し合うこと”と定義できる.
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