連載 やわらかいからだのはなし・12(最終回)
看る身体
北澤 一利
1
KAZUTOSHI KITAZAWA
1
1北海道教育大学(健康管理政策論)
pp.674-679
発行日 2002年7月1日
Published Date 2002/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661904007
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医療をめぐる主観と客観
「客観的なはずの医学が先入観や価値観などの主観的要因によってゆがめられている」.これが,この連載を通して私が読者に伝えたかったメッセージの1つです.しかし,このままで連載を終えることはできません.これだけでは医学への信頼を傷つけるだけで,何も解決策を示していないからです.
ではどうしたらいいのか.2つの解決策が考えられます.1つは,医学の客観性を高めるためにより正確な観察を行ない,信頼性の高いエビデンスを蓄積するよう努力することです.もう1つは,人間の主観性を排除するのではなく,私たちの行為を正しい方向へと導く力として生かす道を考えることです.前者は,文化が医療に与える影響を調査した,ジャーナリストのリン・ペイヤーが支持しています.後者は,この連載のなかで私が選択してきた立場です.
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