特集 —新世紀前夜—いまこそ21世紀の看護を語ろう
【私にとっての看護の3大課題】
1.看護系大学の急速な増加への危惧 2.看護技術レベルの実践と研究の向上 3.マニュアル看護からの脱皮
氏家 幸子
1,2
1大阪大学
2大阪府立看護大学大学院
キーワード:
21世紀の看護
,
日本の看護を世界に発信
Keyword:
21世紀の看護
,
日本の看護を世界に発信
pp.1095-1096
発行日 2000年12月1日
Published Date 2000/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661903613
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なぜ重要なのか
近年,看護系大学の増加は驚異的な勢いである.このような状況は,医学教育の1県1大学化の達成や急速な高齢化等とあいまって,1991(平成3)〜1992(平成4)年以降,行政主導的に始まったものである.確かに看護教育の大学化は,看護職や看護教育に携わるものが長年にわたって努力し,求め続けてきたものである.しかし,実際の大学化においては,看護職の努力過程とは多少異なる成立過程があることも否めない.そのなかで,教員の適切な量と質が確保できないままに大学が増加し,その影響は今日も続いている.看護と看護学の発展のためにはこの状況をプラス方向に転換し,育てていかなければならないと思う.その一方で,社会や医療の急激な変化や大学改革の流れのなかで,大波にさらわれそうな危惧さえも覚える.
次に看護を支える看護学は「実践の科学」であり,実学である.このことは実践の場の課題を研究に,また研究成果を具体的な看護技術,即ち看護行動・行為にすることが求められる.しかし,現状において,個々の看護婦の看護技術,すなわち看護の対象となる人の状態を判断して,適切な技術として表現できるかという技術レベルは,さまざまである.そして看護技術に関する研究は,教育や現場で活用できる内容のものも増加したが,研究のための研究の域を出ないものも多々ある.
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