特集 病みの軌跡と回復
自立と依存の間を揺れ動きながら得ていくもの—慢性関節リウマチ患者の対処行動の発展を見守る
伊藤 まさ子
1
,
矢ノ倉 典子
1
,
阿曽 久範
1
1千葉県千葉リハビリテーションセンター
pp.805-808
発行日 2000年9月1日
Published Date 2000/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661903543
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はじめに
慢性関節リウマチ(以下RAと略す)は,原因不明の自己免疫疾患であり,再燃と寛解を繰り返しながら進行していく慢性疾患である.そのため,生涯にわたる管理が必要となってくる.そして,私たち看護者には,直接的なケアのほかに,患者がセルフケア行動を獲得し,病気と付き合っていくことができるようになるような看護援助が要求される.しかし,私たちはRA患者の問題に焦点を当てて看護援助しても,思ったような介入の効果が現われないことが多いことを経験している.たとえば,関節保護について指導して,その場では「よくわかった」と言い看護者も指導の効果を実感していても,次の入院のときにはまったくと言っていいほど関節保護を行なっておらず,「私たちの指導はなんだったのか? RAという病気の受容ができていないのではないか」と,患者が看護者の思うような生活をしていなかったことに対して批判したり,悩んだりしている.その一方,指導したことは,自分のためだからと積極的に取り入れ,病気と上手に付き合っている患者もいる.
このようななかで,筆者らは痛みに焦点を当てたRA患者の研究を行ない,RA患者に特有の痛み対処行動(RA患者が痛みを和らげるために取っている行動)があることがわかった.この痛み対処行動は,1)我慢する,2)試行錯誤する,3)痛みを予測し軽減策を取る,と大きく3つに分けられ,順に発展していることがわかった.
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