巻頭グラフ この時この一葉
手術室と薬局当番—60年前の看護活動(1)
山根 信子
1
1看護史研究会
pp.786-787
発行日 2000年9月1日
Published Date 2000/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661903538
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1940(昭和15)年晩秋の,京都産院(京都看病婦学校・産婆学校併設)の手術室の風景である.写真の持ち主,中原忍さん(1941年岡校卒業)は,「なんの手術だったか、アメリカ帰りの若い先生は診断も手術の腕もたいへん立派でした.患者さんも多く,毎日のように手術があったので,この写真もなんの手術をしたときか憶えていない」という.
1906(明治39)年建築の産院の手術室は壁面下半分と床は総タイルばりで,当時としては斬新なものであったという.しかしその時代,集中冷暖房はなく,冬はガスストーブ(当時としてはそれでも先端設備)で暖をとり,夏は何も使用せず,閉め切った室内で全員汗だくで手術にあたっていたという.手術室勤務のナースは3名で,全員,看護婦と産婆の資格を持つベテランスタッフであった.
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