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図解—知っておきたい病態生理・8
慢性閉塞性肺疾患の病態生理
西崎 統
1
1聖路加国際病院内科
pp.748-753
発行日 2000年8月1日
Published Date 2000/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661903530
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慢性呼吸器疾患のケアに際しては,閉塞性肺疾患と拘束性肺疾患に二分して病態を考えると便利です.閉塞性肺疾患は,気道がなんらかのの原因で目詰まりしてしまい換気が十分できない病態.拘束性肺疾患は肺実質や肺実質外の異常で肺の弾力性が低下したために換気が不十分となる病態です.高齢者の増加とともに近年増え続けているのが今回とりあげる慢性閉塞性肺疾患です.閉塞性肺疾患は一般に,この英語表記であるChronic Obstructive Pulmonary Disease,略してCOPDとよばれています.図1は,COPDの説明のときに必ずといってよいほど出てくるVennのnon-proportional diagramとよばれるもの.この図のうち,COPDに該当するのは慢性気管支炎と肺気腫の2つです.
COPDはこのように異なった病因による複数の疾患を包含した概念です.そこで頑固(?)な呼吸器病学者の中には,未だにCOPDという呼称を認めず,このようなくくりで複数の疾患を一括することを拒否する向きもあります.しかし,学問的にはともかく,臨床では非常に有用で便利な考え方.なぜならばCOPDとしてくくられる病態は,同じ方針でマネージメントできるからです.
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