看護をめぐる厚生行政［1］—診療報酬改定を中心に

使い分けされる看護料

　今から2年前の診療報酬改定の際に，厚生省の担当官は「看護料は10％引き上げたのだから，週休2日制や看護職員の処遇改善を期待したい」（週刊保健衛生ニュース・90.4.23），「引き上げは久しぶりに実質1％となった．全ての医療機関で4週6休を実施するための財政的手当はこれで終わった．したがって医療サイドに対しては従事者の待遇改善にきちんと対応していただきたいし，次回以降で4週6休の要素を持ち出しての改定幅の要求はやめていただきたい」（ディテールマン・90年5月号）と述べていた．

　今年4月からの改定に際しても，改定幅が実質2.5％と決まった昨年12月に，厚生大臣が日本医師会会長に対して「診療報酬引き上げの原資を看護婦の給与，夜勤改善，週休2日制の導入など待遇改善に充ててほしい」と要望している．これらの経過をみると，厚生省は看護料の改定がストレートに看護婦の待遇改善に結びつくべきものと考えているようである．