特集 1949年度の回顧と50年の展望
厚生行政の動向
伊部 英男
1
1厚生省
pp.213-214
発行日 1950年4月15日
Published Date 1950/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401200624
- 有料閲覧
- 文献概要
終戰以來の我國の公衆衞生は,幾多の惡條件にもかかわらず,飛躍的な進歩をみせ,今日に至つたのであるが,その主要手段とするところは,いわば,公衆衞生の活動の医学的方面の推進であつたように思われる。行政機構の整備.医師等関係者の資質の向上,新しい医藥品の利用等によつて急性傳染病は,明治以來の低率に止めることができたのは,聯合軍の指導よろしきを得たとは言え,日本側としてもやはり誇るに足る業績であろう。今後の課題は,この成績の維持向上であろう。本年に入つてからは,発しんチフスの問題がある。しかし,急性傳染病の問題は,ようやく第二線に退き,結核,性病その他所謂國民病が前面にでて來ている。
結核については,一應結核予防法案が研究されたのであるが,財政上の理由から延期の止むなきに至つた。この疾病は,長期を要するものであつて,当然その間の医療費,生活費の問題がある。この問題は,今日の経済情勢の下では,より一層深刻な問題となつている。今日の問題は,医学的な面の改善もさることながら,より社会的な面が重視されなければならない。ここに社会問題としての医療問題が浮び上つてくるのである。
Copyright © 1950, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.