特集 看護に役立つ東洋医学の方法
看護婦にできる簡単なマッサージ法
矢野 忠
1
1明治鍼灸大学東洋医学臨床教室
pp.416-421
発行日 1991年5月1日
Published Date 1991/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661900383
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マッサージとは
マッサージは「術者の手指で,相手の人の体の表面に力学的刺激(触れたり,なでたり,揉んだり,押したり,震わせたり,たたいたり,引っ張ったり)を与え,生体反応を起こし生体の変調をととのえ,病気を予防し,健康を増進する施術である」と定義されており,手技療法の一種である.マッサージという語はフランス語であるが,もともとアラビア語の「圧する」,ギリシャ語の「こねる」,ヘブライ語の「さわる,さする」という意味から起こった語である.
マッサージはそもそも古来より行なわれてきた自然療法の一種であるが,その起源は明らかではない.おそらく本能的な治療行為(痛ければさするなど)が起源であろう.このマッサージを医術として大いに推奨したのは医聖ピポクラテス(B.C.460〜375頃)である.ピポクラテスは「医師たるものは医術に関するすべての学理を究めることも大切であるが,大いにマッサージを修得しなければならない」と力説し,ギリシャの医師アスクレピアデス(B.C.124〜?)もマッサージの効果を賞揚し,その普及に努めた.
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