学生の広場
父親から腎提供を受けた移植患者への援助—術前術後の不安に働きかけて学んだこと
成岡 弘乃
1
,
真部 昌子
1
1日本医科大学看護専門学校
pp.1000-1004
発行日 1990年10月1日
Published Date 1990/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661900237
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
移植を受ける患者は,他の手術を受ける患者とは,また少し異なったストレスのもとに置かれていると言われている1).
今回,慢性腎不全で半年間の透析生活を送った後,腎移植を受ける男性患者を受け持った.ところが,手術が近づき,移植後の拒絶反応や免疫抑制剤の副作用について学習するにつれ,患者は手術に対し積極的な態度を示さなくなった.それは手術に対する期待と不安,移植ならではのドナー(父親)への葛藤によるものであり,患者と父親の両者に働きかけることで,迷いや不安が軽減するのではないかと考え,援助した.その結果,患者は心身ともに良好な状態で手術に臨むことができ,術後には「手術を受けて良かった」という言葉さえ聞かれた.
Copyright © 1990, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.