研究と報告
日本とフランスにおける看護のアイデンティフィケーションの比較
原山 哲
1
,
Maryse Petit
2
1パリ高等師範学校
2キュリー病院
pp.993-998
発行日 1990年10月1日
Published Date 1990/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661900236
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はじめに
看護の役割をどのように考えるか,それは,その役割を遂行している看護婦各人によって,また文化・社会を異にすることによって,さまざまである.その役割は,それを遂行する人によって多様に解釈されるし,また,その人の自己の1つの局面をつくることにかかわってもいる.このような人と役割との関係は,P.L.バーガーにならって,役割へのアイデンティフィケーションと呼んでもよい1).われわれが行なった調査の結果に基づき,日本とフランスにおける病院看護婦の,看護という役割へのアイデンティフィケーションを考察したい.
この調査では,看護の役割をどのように考えるか,その理想と現実との2つの側面から,質問紙法によって明らかにしようとした.日本では,東京と千葉市のそれぞれ1つの病院,またフランスでは,パリの2つの病院,マルセイユと北フランスのベルグのそれぞれ1つの病院において,基本的に無作為抽出により標本を選択した.いずれも,組織的合理性が高度に発展していると思われる大病院を対象としている.
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