特集 精神保健法施行2年を迎えて
精神保健法の前と後—病棟看護はどう変わったか
屋良 節子
1
1沖縄中央病院
pp.668-672
発行日 1990年7月1日
Published Date 1990/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661900165
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沖縄では昔から“ニライ・カナイ”信仰があり,“海の彼方から神々が訪れ,人々に豊穣と幸せをもたらしてくれる”と堅く信じられていた.また祖先を敬い,親戚縁者を大切にする祖先崇拝や門中制度という宗教的精神基盤が浸透していた.日々の生活では,亜熱帯地方の厳しい環境の中で昼間は額に汗して働いていたが,夜ともなると毛遊び(モーアシビー)といって,青年男女が三線(サンシン;蛇皮線)片手に三々五々集まってきて夜更けまで楽しく,歌い,踊り,語りあっていたという.
沖縄の民謡には,人の情愛を唄った歌が数々ある.また「行逢りば兄弟,何隔てぬあが,語り遊ば(イチャリバチョウデー,ヌーヒダティヌアガ,カタリアシバ)」という,人々の触れ合いの歌がある.豊かな海,美しい自然の中で人々は心を育み情の輪を温かく広げていた.
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