連載 精神科の戦後史・7
精神保健法と精神保健福祉法の制定の背景と趣旨について—特に精神衛生法から精神保健法に,精神保健法から精神保健福祉法への変化の背景を中心に
髙橋 清久
1
1公益財団法人精神・神経科学振興財団
pp.675-684
発行日 2015年8月15日
Published Date 2015/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405204975
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
はじめに
筆者に与えられた役割は精神保健法と精神保健福祉法(精神保健及び精神障害者福祉に関する法律)とが新たに制定された背景とその趣旨を記載することである。精神保健法は1回,精神保健福祉法は4回改正されているが,精神衛生法が精神保健法に,また精神保健法が精神保健福祉法に新たに制定された時点を中心に記載したい。
精神医療にかかわる法律の内容,その成立の背景についての見方あるいは評価は,さまざまな立場,主張からなされており,それらの相違は非常に大きい。それらを包括的に述べることはきわめて困難である。またそれを限られた紙面の上に集約することは筆者の力量には余るものがある。そこで筆者はできるだけ客観的に事実を中立的立場で忠実に記載するということを旨として法律の変遷を振り返ってみたい。
なお,表1には精神保健法および精神保健福祉法の制定,改正に影響を及ぼした主要な出来事をまとめ,表2には各法律の概要をまとめた。
Copyright © 2015, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.