鼎談 農と脳
りんごのストレングスモデル
木村 秋則
,
向谷地 生良
1,2
,
川村 敏明
3
1北海道医療大学
2べてるの家
3浦河赤十字病院精神神経科
pp.4-23
発行日 2009年9月1日
Published Date 2009/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661101503
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青森県に、農薬をいっさい使わないでリンゴを育てている農家がある。農薬を使わないで野菜や果物をつくる農家は数多くあるが、農薬を使うことを前提にたび重なる品種改良を続けてきた「リンゴ」という果物を、自然農法で育てるのは不可能といわれていた。その不可能を可能にしたその人が木村秋則さんである。
木村さんのつくったリンゴは何か月たっても、しぼんで小さくなっていくだけで腐らない。木村さんのリンゴを使ったスープが売り物の都内のレストランは、半年先まで予約がいっぱいだ……。
噂が噂を呼び、2006年12月にNHKの人気番組『プロフェッショナル 仕事の流儀』に木村さんが登場すると、さらに話題になった。木村さんの満面の笑顔が表紙になった『奇跡のリンゴ』(幻冬舎)は数十万部を超えるベストセラーになり、全国から講演依頼が引きも切らないという。
北海道の襟裳岬に近い浦河の地でも、この番組は大きな反響を呼んでいた。放映の翌日、趣味の農業の話をすると止まらなくなる精神科医・川村敏明さんと、「べてるの家」を当事者と一緒につくったソーシャルワーカー・向谷地生良さんは興奮気味にこう語り合った。「べてるとおんなじだ!!」と。
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