BOOKS in Review
精神科の薬がわかる本
荒井 有美
1
1北里大学病院医療安全管理室
pp.54-55
発行日 2009年5月1日
Published Date 2009/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661101449
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- 文献概要
精神科にとどまらないすべての領域の医療職に薦めたい
本当に必要なのは臨床に役立つ知識
私は医薬品に関する講義をさせていただく機会には、必ず「添付文書の情報をよく確認してほしい」と話しています。添付文書は、人の生命と健康に関わる医薬品の取り扱いが示された唯一公的な情報源であり、改めてこれの確認を求めるのは、処方する医師だけでなく、すべての医療従事者が医薬品の適正使用には細心の注意を払ってほしいと望むからです。
一方で、聴講者から必ずといっていいほど聞かれるのは「学生時代、薬の勉強は苦手でした」「薬理学を理解するのはむずかしいです」という薬の勉強へのアレルギーを訴える声です。これは添付文書を確認する機会を増やすということとは別の議論です。しかし、これまでの看護教育における薬に関する講義の多くが、薬効のメカニズムを分子レベルで理解することを主体としている薬理学が中心となっているならば、難しいという印象をもってしまうのは当然かもしれません。もちろん、薬が細胞のどの作用点に働きかけて、どんな効果を発現するかといった知識も必要ですが、よほどわかりやすく解説されないと薬に対する嫌悪感を助長してしまいます。
そして、まずは何よりも看護師にとって、いちばんに知りたいことは、与薬によって患者さんにどのような影響がでるか?ということではないでしょうか。
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