連載 こんな方法もあるかもしれない―介護発,武術経由の身体論・12
重心をとらえる
岡田 慎一郎
Shinichirou Okada
pp.1056-1061
発行日 2008年12月1日
Published Date 2008/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661101362
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坂道が怖い
パーキンソン病の旦那さんを在宅で介護をしている奥さんから歩行介助についての質問を受けました.旦那さんは自宅の中であれば,多少動きはゆっくりなものの,それほど危険もなく歩ける状態.しかし,家の前のなだらかな坂道になると,急に足取りが重くなってしまい,外出を嫌がるようになってきたということでした.車椅子の使用にはお互いにまだ抵抗感があり,できることなら自分自身の足で歩いてもらえるような介助がしたいというご要望でした.
普段の歩行介助について聞いたところ,手を握り,背中から腰のあたりに手を添えて押しているとのこと.しかし,この方法だと平地での歩行であれば問題はないけれど,坂道になると,どうしても腰が後ろに残ってしまい,足がうまく出ないそうです.奥さんは,前に回って手を引いたり,大腿の後ろから一歩一歩押し出すようにしたりと,いろいろと工夫をしたがなかなかうまくいかないとのことです.
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