特集 触れる
皮膚感覚とケア
いたい,かゆい,きもちいい―皮膚感覚のしくみと意味
山口 創
1
Hajime Yamaguchi
1
1桜美林大学・身体心理学
pp.927-935
発行日 2008年11月1日
Published Date 2008/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661101342
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皮膚と皮膚が触れ合うことの意味
皮膚は「露出した脳」ともいわれるが,最近の研究では,皮膚と脳の共通点が次々と発見されるようになった.たとえば,皮膚の表皮に,脳の海馬に存在するとされるNMDA受容体が発見されたり,脳からの命令を待たずに,表皮自体に外界や身体内部の状態を感じ取り判断する機構が備わっていることがわかってきた(図1)1).
しかしこうした事実は,皮膚がもともと脳と同じ部位からできていると考えれば,それほど不思議なことではないのかもしれない.皮膚と脳は発生の段階まで遡ると,同じ外胚葉に由来するからだ.
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