連載 こんな方法もあるかもしれない―介護発,武術経由の身体論・5
寝たままの人を2人で移乗する技術
岡田 慎一郎
Shinichirou Okada
pp.434-439
発行日 2008年5月1日
Published Date 2008/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661101263
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寝たままの状態で移乗するには「力」がいる
手術室での身体介助技術を質問されたことがあります.手術後にストレッチャーに麻酔がかかって寝たままの状態で移動させることが,大変きついということです.確かに意識のない状態で,しかも手術の直後という条件では,力まかせに強引な持ち方は絶対にできません.最大限慎重に,しかも,ゆっくりとソフトな移乗を心がけねばならないので,結局筋力を最大限に発揮して,被介助者の重さに耐えながら介助しているそうです.その結果,肩や腰を痛めてしまい,コルセットが手放せなくなっているとのことでした.
また,訪問入浴をされている方からも,ベッドから浴槽へ寝たままの状態での移動を質問されたことがあります.特に在宅の場合,病院や施設と比べてスペース的にも狭く,持ち上げたままで室内を移動してベッドから離れた場所にある浴槽に入浴させることもあり,その時の身体的な負担は相当なものだということです.
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