特集 プリセプター必読 新人が聞けないこと 先輩が言えないこと
II 新人が患者さんに言えないこと
吉田 みつ子
1
1日本赤十字看護大学
pp.382-387
発行日 2008年5月1日
Published Date 2008/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661101249
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ストーリー
「患者さんに断られると,それ以上は言えない」
1年目の新人
内科病棟勤務
80歳の女性,野村さんが狭心症の症状を訴え,検査のために入院していました.入院当初は環境の変化のせいか,夜中にトイレに向かう際,転びそうになったところを発見され,ナースコールマットを敷いていました.症状が軽快したので,入院後初めて入浴することになりました.私は野村さんに入浴を勧めると,「午後に娘が来てくれるから,そのときに娘にやってもらいます.いいんですよ,お忙しいのにもったいない……」と遠慮がちに断られました.しばらくして,もう一度入浴を勧めましたが,やはり断られました.私は,入浴介助をするなら午前中しか時間がなく,午後は手術室から戻ってくる患者さんもいるため無理だなあと思っていましたし,そこまで患者さんが拒否するならムリに介助する必要もないと思い,家族にまかせることにしました.
午後になって,娘さんが来院し,入浴を介助されました.ところが,娘さんが脱衣所で着替えなどを準備して目を離したすきに,野村さんは浴室で足を滑らせ,膝を打撲してしまいました.「家のお風呂とは勝手が違ってねえ……」と野村さんと娘さんは笑っていましたが,私はインシデント・レポートを書くことになりました.
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