調査・研究
臨床現場における看護師のポジティブ感情とその出現要因の構造化
齋藤 恵
1
,
加世 亜矢子
2
,
富田 真佐子
3
1三楽病院四階西病棟
2三楽病院五階病棟
3国際医療福祉大学
pp.912-917
発行日 2007年10月1日
Published Date 2007/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661101093
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はじめに
医療技術の高度化や患者のニーズの多様化によって,看護師の役割や機能は拡大している.看護師は職責や配慮を要求され,不安や不満などのネガティブな感情が出現しやすいと言われている1).ネガティブな感情は自律神経系の亢進をもたらし,その持続が心身に悪影響を与える2).看護師のストレスの実態を明らかにする研究は多数行なわれ3,4),ストレス緩和への取り組みが期待されている.
一方で,看護師として働くことの精神的健康・幸福感(well-being)という概念が提唱され,ポジティブな特性に注目した研究5-7)が行なわれつつある.Seligmanはポジティブ心理学を提唱し,生活の悪い面を修復することにとらわれていたこれまでの心理学を指摘した2).Fredricksonはポジティブ感情には,ネガティブな感情からの脱却のきっかけや,ネガティブな感情によって高められた嫌な気分や,自律神経系の亢進を速やかに元に戻す効果,思考と行動のレパートリーを広げる効果(The broaden and build theory)があると示している8).そこでストレス緩和の取り組みだけでなく,看護師のポジティブ感情に着眼し,活かし育む視点も重要と考えた.どのような体験で看護師にポジティブ感情が出現するのか先行研究を検索したところ,文献は見当たらなかった.本研究では,看護師のポジティブ感情とその出現要因を探索し,構造化することを目的とする.
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