特別記事
提言―地域医療の要として糖尿病療養指導士(CDEJ)を活用する
舩田 仁美
1
Funada Hitomi
1
1さいとう内科クリニック
pp.908-911
発行日 2007年10月1日
Published Date 2007/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661101092
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糖尿病の拡大とCDEJに期待される役割
世界的な糖尿病患者増加傾向の中,日本でも2002年の厚生労働省の調査では「糖尿病が強く疑われる人」は約740万人と推計され,その後も年々増加している.糖尿病はコントロール状態が不良であれば,糖尿病特有の細小血管障害および大血管障害を来たし,患者のQOLを著しく低下させ,医療経済にも莫大な影響を与える.糖尿病患者の1年間の治療費は平均23万円といわれているが1),合併症の出現によりその額は増大する.患者のQOL低下を防ぎ,医療費を抑制するには,早期発見,早期治療による合併症の発症・進展の抑制が望まれる.
このような背景の中,2000年2月,日本糖尿病学会,日本糖尿病教育・看護学会,日本病態栄養学会が母体となり日本糖尿病療養指導師認定機構が発足し,糖尿病療養指導士(Certified Diabetes Educator of Japan;CDEJ)の認定が始まった.CDEJに期待される役割は「糖尿病患者合併症の発症の予防と進展の阻止」であるが2),認定開始から7年が経ったいま,1万人以上いるCDEJの活動状況はいまだ不透明といえる.各地のCDEJのさまざまな活躍を見聞きすることはあっても,その有用性を確認できるような報告・エビデンスはいまだ少ない(もっとも,非専門医や糖尿病専門医による療養支援についてのエビデンスもほとんどないのだが).
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